ポルトガルのコルク工場で出会ったバージンコルクと自然のかたち

 

ポルトガル手しごとの旅

 

 

 

 

ポルトガル・ファロのコルク工場を訪ねて

 

 

この日、モンサラーシュの村を後にして、ポルトガル南部アルガルヴェ地方にある町、ファロ(Faro)のコルク工場を訪れました。雲ひとつない青空のもと、緑豊かなコルク畑がどこまでも広がっていて、その景色にしばらく見とれてしまいます。この地域はコルクの産地として知られており、世界のコルクの半数以上がポルトガルで生産されているとも言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポルトガルのコルク文化  

 

工場の庭には、採取されたコルク樹皮が山のように積み上げられ、加工の順番を待っていました。その脇には1本のコルクの木が立っていて、オーナーのTânia (ターニア)さんがこう教えてくれました。

 

「この木は34歳なの。だから、今年2回目の樹皮の採取が終わったところなのよ。」っと

 

コルク樫の木からコルク(樹皮)を採取できるのは、植えてから25年目に初めて。そしてその後は、9年に一度しか剥くことが許されていません。ポルトガルでは、こうした厳格なルールのもとで管理されており、木を伐採せずに採取できる、まさにサステナブルな自然素材なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

バージンコルクって?  

 

25年目に初めて採取されるコルクは「バージンコルク」と呼ばれ、特別な特徴があります。幹にはコブのような節があり、その内部は自然に空洞になったボウル状の形をしています(彫り抜いたものではありません)。節の形や大きさは1つひとつ異なり、この節からしか取れないバージンコルクは、非常に希少な素材です。

 

個性的なフォルムのボウルは、昔から水汲み用の器やコップ、物入れなど、多目的に使われてきました。

 

また、コルクは樹木の部位や年輪によって、硬さや密度が異なります。用途に合わせて加工方法も変えられ、それぞれの特性を生かしながら、暮らしの中に自然素材を取り入れているポルトガルの人々の姿勢がとても印象的でした。

 

また、コルクは樹木の部位や年輪によって、硬さや密度が異なります。用途に合わせて加工方法も変えられ、それぞれの特性を生かしながら、暮らしの中に自然素材を取り入れているポルトガルの人々の姿勢がとても印象的でした。

 

そういえば、リスボンの地下鉄のシートも座面にコルクが使われています。

 

 

 

 

 

 

 

暮らしに息づく自然のかたち  

 

美しい大きなバージンコルクのボウルにも心惹かれましたが、持ち帰るにはあまりにも大きくて断念。けれど、いくつかの個性的なボウルを選び、日本へ連れて帰ってきました。

 

これらのバージンコルクボウルは、アンコンプレのオンラインストアでもご紹介しています。自然が生み出した唯一無二のかたちを、ぜひ暮らしの中に取り入れてみてください。

 

 

 


 

店主がめぐる旅 

2024.5.10 Faro Algarve

 

旅先で出会ったポルトガルの手しごとをお届けする小さなオンラインストア「&COMPLE(アンコンプレ)」店主・阪倉みち代

気の向く時に綴る旅のミニジャーナルです。