2025年06月19日
ポルトガル手しごとの旅
ポルトガル旅行で訪れたアレンテージョ地方。その中でも“ポルトガルで一番美しい村”とも称される「モンサラーシュ(Monsaraz)」は、まるで時が止まったかのような静けさと、圧倒的な自然美に包まれた場所でした。
リスボンを出発し、長く延びるバスコ・ダ・ガマ橋(Ponte Vasco da Gama)を渡ると、空気ががらりと変わったのを感じました。広がるのは、緑一面のコルク畑。そこはアレンテージョの入口です。高速道路沿いの高圧線には、春の風物詩であるコウノトリの巣が次々と姿を見せ、車窓を楽しませてくれます。(スピードが出すぎて写真は断念…!)
そう、アルガルヴェやアレンテージョ地方には、春になるとあちこちにコウノトリの巣を見かけるようになるのです。それはまさに、田園風景のなかに現れる典型的な春の風物詩なんだそうです。(車のスピードが早すぎて写真が撮れなかったのだけれどね)
小高い丘が果てしなく続き、見渡す限り遮るモノのない牧草地が広がっていきます。そこには、牛や馬のゆったりとした姿。やがてそれはぶどう畑へと変わり、そしてオリーブ畑へと繋がっていきます。
リスボンからたったの2時間半(とはいえ、およそ185km)を一気に走り抜けて、辿り着いたモンサラーシュの麓の村。そこは、あまりにも静かで美しく、黄昏時のやさしい光が迎えてくれる感激のひとときが待っていました。
モンサラーシュで過ごす、自然と調和した宿の時間
今回宿泊したのは、ヴィラスタイルの心地よいお宿。アレンテージョらしい白とブルーの漆喰の外壁、南ポルトガル・アルガルヴェの自然素材「パルム」で編まれた装飾、そして広々とした設計が魅力の宿です。
咲き誇る色とりどりの花々。ベンチやガゼボでは、時を忘れて過ごせるような開放感がありました。建物はプライバシーにも配慮され、外の視線をやさしく遮るように配置されています。スタッフの距離感もほどよく、あたたかいホスピタリティと、土地の自然にそっと溶け込むような開放感に包まれていました。
そして目の前には、平原の真ん中にそびえる丘。そこに佇むのが、モンサラーシュの村。夕陽を浴びてきらめくその姿は、まさに「ポルトガルで一番美しい村」の名にふさわしいものでした。
あの丘の上からは、一体どんな景色が広がっているのだろう。そんなことを考えながら、私はお宿の屋上にあるプールサイドのガゼボに身を預け、静かに暮れゆく空を眺めていました。
そして翌朝、モンサラーシュの村は、また違った表情で私を迎えてくれることになります。
店主がめぐる旅
2024.5.8 Monsaraz Alentejo
旅先で出会ったポルトガルの手しごとをお届けする小さなオンラインストア「&COMPLE(アンコンプレ)」店主・阪倉みち代のミニジャーナルです。
気の向く時に、気の向くままに綴っています。(少し時差があります✈︎)