2025年07月14日
ポルトガル中部、セントロ地方にあるセラ・デ・アイレ自然公園の中の小さな村「アルヴァドス(Alvados)」を目指して出発。イザベルさんのアトリエからは約180kmの道のり。週末は移動と休息がセットになった海外でのお仕事ルーティン。気になる町を見つけたら立ち寄りつつ、のんびりと目的地へ向かいます。
エヴォラ(Évora)を横目に北へ進み、寄り道したのは、アライオロス(Arraiolos)の城址跡。白い漆喰壁に青や黄色の縁取りが施された家が連なる、可愛らしい街並みに癒されます。
「町の高台に立つ14世紀の城壁(カステロ)からは、アレンテージョ地方の穏やかな風景が広がり、静かに佇む教会が街を見下ろしています。聞こえてくるのは風の音と小鳥のさえずりだけ。思わず深呼吸したくなる、静寂に包まれた時間です。
高速道路を北上し、どこまでも続いていた平原が、だんだんと山々に囲まれた景色へと移ろいはじめると、そこはもうセントロ(Centro)地方。レイリア県(Leiria)の小さな集落アルヴァドス(Alvados)に到着します。
この日宿泊するのは「The Nest By Cooking and Nature」。自然と料理に寄り添うことをコンセプトにしたデザインホテルです。
チェックイン時に「これがあなたのウエルカムバッグよ」と言って渡されたのは、ポルトガル北部バルセロスに伝わる手作りバスケット。中には、お部屋のキーと案内が入っていて、思わず心がキュンとします。
お部屋へは、自転車に乗ったスタッフのお兄さんが案内してくれました。こちらは車での移動だったのでそのギャップにもほっこり。自然の中で営まれるホテルならではの、環境に配慮したフレンドリーなホスピタリティを感じました。
建物は花崗岩とウッドで構成され、自然の地形を活かして建てられているのが印象的。天然のハーブや木々が茂る敷地内のアプローチは、まるで森の中を散策しているかのような心地よさで、お部屋へと誘ってくれます。
お部屋は中庭のテラスを抜けて、プール、その先にはセラ・デ・アイレ(Serra de Aire)の山々を望む開放的な設計。ベッドの前には仕切りのないバスルームが配置されていて、自然との一体感を感じられます。それでいて、しっかりプライベートが保たれている心地よい空間です。
翌朝、リクエストしていた朝食がバスケットに入って届けられました。霧がかかるひんやりとした朝、美味しい空気を胸いっぱいに吸い込みながら、フレッシュな気分で朝食をいただきます。お部屋に置かれていたシ・コラサォン(Chicoração)のブランケットを膝にかけて、静かな朝の時間を味わいました。
まるで打ち合わせのタイミングを見計らったかのように、この後はシ・コラサォンのファクトリーへ向かいます。
ホテルから前日に電話があり、「日曜日はレストランが休みなので、村のレストランに行くなら予約を」とのこと。なんでも、村には2軒しかレストランがなく、もし、いっぱいだったら「私たち家族と一緒に夕食をどう?」というご提案まで。なんとも親切で温かい対応です。
そのような訳で、こちらの「山の花(Serra da Flor)」というプリティーなレストランでいただくことに。入口のバーには地元のおじさんたちがわちゃわちゃと楽しそうに集まっていて、扉を開けると一斉にこちらをジロリ。でも「Ola!」と笑顔で挨拶すると、すぐに和やかな空気に変わりました。
予約していることをウエイトレスさんに伝えると、案内された一番奥の席は、木の内装と赤がアクセントの椅子、素朴な装飾がかわいい雰囲気の伝統的な空間。まだ誰もいない店内に「なんだぁ、予約しなくても大丈夫だったんじゃない?」と内心思ったのですが、あっと今に満席に。どちらからも楽しげな夕食のテーブルを囲む声が聞こえてきます。
冷えたビーニョベルデと、本日のおすすめスープ、名物ポルトガルスタイルのテーブルで焼くチョリソ、小羊の煮込み料理など、トラディショナルな滋味深いお料理をいただきました。
旅の途中、数日おきに移動する車での旅は、知らず知らずのうちに疲れも溜まっていきます。 そんな中、セラ・デ・アイレの絶景と自然包まれて過ごした週末の午後。この場所で深呼吸して、また明日からのエネルギーをいただきました。
「ん〜っ、地元食材を使ったディナーをいただけなかったのが残念。次回のお楽しみとなりました。
2024.5.12 Arraiolos,Alentejo to Alvados,Centro
2024年5月、ポルトガル各地を2800km走り、手しごとと風景を辿った21日間の旅。