PORTUGAL・ファロの夏

 

ポルトガル手しごとの旅

 

 

 

 

ポルトガル最南端のリゾート、ファロの夏

 

 

ポルトガル最南端のアルガルヴェ地方、ファロの街はすっかり夏の様相でした。まだ5月だというのに気温は30度を超え、早くも真夏のよう。週末ということもあって、街ゆく人々はすっかりリゾートモード。楽しげな姿で街がにぎわっていました。

 

数キロに渡って続くファロ周辺のビーチは、アルガルヴェで特に美しいビーチの一つとして、昔からポルトガル人はもちろん、ヨーロッパ各地の人々の避暑や避寒地として知られています。

 

この日、ファロ大聖堂のルーフトップから眺めたラグーンはエメラルド色に輝いていて、沖にはたくさんのボートが停泊する姿に、ゆったりとした時の流れを感じました。

 

 

 

 

 

 

 

ファロの旧市街

 

13世紀、ポルトガルにおけるイスラム勢力終焉の地となったこの町では、アラブやムーアの面影とポルトガル文化が溶け合ってます。古い城壁に囲まれた街は、狭い石畳の通りに鮮やかな建物が映える、とても美しい佇まい。

 

ポルトガルらしいカルサーダ(石畳)は、港町らしくサーディン(いわし)の模様があしらわれ、道しるべのようになっていて、思わずほっこりします。

 

オレンジの街路樹が並ぶ石畳を進んでいくと、やがて広場に出ました。ヨーロッパの古い街は、中心にある広場から街歩きするのが好きなんです。やはりファロも、この辺りに市庁舎や大聖堂が建ってていました。

 

 

 

 

 

 

ファロ大聖堂  

 

ファロ大聖堂(Sé de Faro)は、もともとはイスラム統治時代のモスクの跡地に建てられたそうです。18世紀に建て替えられ、マヌエル、ルネサンス、ゴシックなどをミックスした建築様式は、建物探訪好きにはたまらない魅力があります。

 

中庭に佇む小さな礼拝堂では、ロープや貝殻をあしらった石のレリーフに、ポルトガルの黄金期を思わせるマヌエル様式が見られます。アーチや柱の装飾にはルネッサンス様式の豊かなディテール。チャペルへ向かう小道には可憐なお花と漆喰の壁が寄り添って、まるで絵画のよう。色彩豊かな装飾タイルも、アラブの影響を感じさせてくれます。

 

 

 

 

 

 

教会の内部は美しく荘厳な雰囲気に包まれていて、特に目を引くのは、青で描かれたアズレージョと、聖母マリアが幼子イエスを抱く像が置かれたドーム天井の空間に並ぶ、色付きのアズレージョです。そこに重なるように施された金色のレリーフが時の流れを語り、静かな感動にひたります。

 

2階の回廊には、宗教画の切り絵が飾ってありました。綿密なエッジングと精緻な切り絵、そして細密なフレームに、ただただ感嘆のひとこと。やはり、この国には昔から抜群に手先の器用な人々と、手しごとの技が存在していたのですね。

 

 

 

 

 

 

 

人里離れた静かなB&B  

 

ポルトガルに到着して初めての週末は、アルガルヴェでの夏リゾート全開を離れ、少し内陸に外れたとても静かなゲストルームへ。

 

旧市街から一転、まるでテーマパークのような世界に飛び込んだかのような展開でしたが、これもまたリアルなポルトガルのバカンススタイル。プールを見下ろすテラス付きのお部屋は、雑誌に出てきそうな“ザ・リゾート”なインテリアで、窓の外までもフェイクに見えてしまうほど(笑)。長旅の移動で疲れた身体と心を、遮るもののない開放感あふれる空間がやさしくほぐしてくれました。

 

そして、天然の塩水プールでは火照った身体をゆっくりと冷やすことができました。実は今回の旅、プール付きのお宿が多いのですが、うっかり水着を忘れてしまって…ファロの街で水着探し。「よかった〜買えて」と思わず笑み…そんな小さな出来事が旅の幸せなひとときになりました。

 

 

 

 

 

 

 

その日、テラスから見たオレンジ色に染まる夕暮れは…もう、言葉なんていりませんね。

 

明日は、伝統のバスケット職人さんに会いにいきます。

 

 

 


 

店主がめぐる旅 

2024.5.11 Faro Algarve

 

旅先で出会ったポルトガルの手しごとをお届けする小さなオンラインストア「&COMPLE(アンコンプレ)」店主・阪倉みち代

気の向く時に綴る旅のミニジャーナルです。(かなり時差があります✈︎)